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長い歴史で身近になった豚プラセンタ製品

近年は馬プラセンタが人気上昇中ですが、日本国内で長年使われてきたのは豚の胎盤を原料としたプラセンタ製品でした 。
20年ほど前までは、まだ珍しく価格もやや高く、高級化粧品やサプリメントの一部にしか配合されていませんでしたが、
近年は手に入りやすく、お値段も手ごろな製品が増えてきました。

豚プラセンタ製品が身近になったのは、衛生管理と精製技術の進化や多業種の参入という理由もありますが、
なんといっても豚が多産であることが理由でしょう。

豚は1年に2回以上出産することが可能で、一回のお産に6~8頭もの仔豚を生みます。
産後の管理がきちんとできさえすれば、多くの胎盤を原料として集めやすいのです。

育ちの違い」が品質と価格に反映される

美容と健康が気になる人に親しまれてきた豚プラセンタですが、実は品質には大きな幅があります。

養豚場は不衛生なイメージを抱かれがちな場所ですが、実際には衛生管理の良くない場所から、
非常に清潔に整った施設までさまざまなのです。元来、豚自体はきれい好きな生き物であり、
環境衛生が悪いと体調に響きやすいといわれています。
不衛生な養豚場では飼料に抗生物質などを混ぜて投与することもあり、
それは胎盤を含めた肉の品質と安全性にかかわってきます。

一方、そんな飼育方法に疑問をもち、よりよい品質の豚を生産しようという 考え方のもとで
生産される豚に 「SPF豚」というものがあります。
これは、「Specific Patbogen Free」の頭文字で、人畜共通感染症や豚同士の感染症など特定の菌を
保有していない豚を指します。無菌状態ではありませんが、衛生的な環境で飼育されており、
特に繁殖用となる雌豚はSPF豚として飼育される機会が多くあるようです。
清潔な環境で育ったSPF豚は特有のにおいが少なく、胎盤の加工時にも衛生管理がしやすい、
高品質のプラセンタ原料となるのです。

言葉通りに「育ちが違う」一般の豚胎盤とSPF豚の胎盤では、原料としても製品化した後も、
品質に大きな差ができてしまうというわけなのですね。

化粧品と食品でも品質がなる豚プラセンタ

原料の品質の違いや加工方法の違いにより、豚胎盤製品も他の原料製品同様、
化粧品原料とサプリメント(食品)原料に分かれていきます。

人が使うさまざまな製品は、一般的に医薬品グレード、食品グレード、化粧品グレードの順番で衛生基準が厳しくなります。
プラセンタの医薬品グレードはヒトプラセンタのみになりますので、
サプリメントなど食品グレードのプラセンタ原料は化粧品に比べて厳しく管理されています。
そのため、衛生的な環境で育ったSPF豚胎盤も、化粧品よりもサプリメントに使用される場合が多いようです。
SPF豚のプラセンタ原料を配合した基礎化粧品は取り扱いが少なく、
十分な量が配合されているものはかなりの高級品といえるでしょう。

また、時には仔豚を胎内で育てきれず、流産してしまう母豚もいます。こうした場合でも後産として胎盤が出てきますが、
この時の胎盤は十分に育っておらず、栄養不足のものもしばしばあるのです。
さらに、無事出産したものの母豚の生殖力が落ちており、数頭しか出産できず胎盤も小さいという場合もあります。

このような胎盤は原料としてもいわば「力不足」であり、高品質の胎盤とはいえません。

最新の医療分野で利用される豚の組織とは

生物化学の分野では、豚の体組織は人に近く、免疫的な抵抗が少ない面もあることが知られています。
その性質を利用した研究の成果として、国内外の医療研究機関において、目の角膜の異種生体移植の実用化が検討されています。
これは食肉用の豚の目の角膜を、角膜を失った人の目に移植しようという試みで、
生きている異種動物間での本格的な臓器移植利用は人類において極めて珍しい経験であり挑戦です。

身体のすべての組織に応用可能ではありませんが、
それだけ豚と人の体は親和性が高い面があるという一つのエピソードといえるでしょう。

そんな豚のプラセンタですが、残念ながら人によってはアレルギーの原因となります。
日頃から豚肉を食べるとかゆみや発疹が出る、おなかがゆるくなるなどの症状がある人は、
十分に注意して製品を選ぶ必要があります。

また、国内のプラセンタ製品は圧倒的に豚プラセンタ原料を使用した物が多く、
種類が豊富なだけに同時に配合されている成分もさまざまです。
豚プラセンタ成分そのものではなく、他の成分がアレルギーを引き起こしてしまう可能性もあることも
チェックしておくのが、間違いのない製品選びといえます。
その際、同時に含有されている成分の種類が多いほど、
プラセンタの配合量が低くなる場合が多いことも覚えておくとよいでしょう。