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生プラセンタって、生の胎盤のこと?

柔らかさと濃厚さをイメージさせるため、使われるようになった「生(なま)」という言葉があります。
生チョコ、生キャラメルなどでおなじみですが、最近では栄養食品やサプリメントでも使われるようになりました。
「生プラセンタ」と名付けられた商品群もそのひとつ。 でも、よく考えてみたら、新鮮な胎盤は動物の臓器、つまり肉ですよね。

それって生でも大丈夫なの……?と思うのが自然ではないでしょうか。

動物の胎盤は、血液がたっぷり含まれている肉そのものですから、色も赤~暗褐色です。
でもサプリメントなどに「生プラセンタ」と表示されている製品は、白っぽかったり、黄味がかっているものばかり。
これって、本当に生なのかと思ってしまいますよね。 生プラセンタって、どんなものなのか探ってみました。

生プラセンタはこうして作られる

「生」という言葉がどういう状態を指すかというと、多くのメーカーの説明では「加熱していない」と書かれています。
非加熱であることで、栄養成分が破壊されずにより多く残っている(はずだ)という理由から、
生であることをウリにしているんですね。でも、加熱しないで衛生的に大丈夫なのかなとも思ってしまいます。

生プラセンタの製造方法は、各メーカーとも「オリジナルの技術」として企業秘密のように扱っている場合が多いようですが、
加熱しないで衛生的に品質を保つには、
①薬品・光・酵素・気圧などの化学反応を利用して殺菌する 
②物理的にろ過して菌やウイルスを分離する

のいずれかしかありません。

化学反応を利用する代表的な方法は強酸を利用しての殺菌で、製品の酸度を一時的に高めることで、
菌が生きられないようにしてしまう方法です。
実はこの方法では、プラセンタの成分であるたんぱく質も破壊されてしまうことがあります。

もう一つの物理的な方法では、超高機能のフィルターで製品を濾して、菌やウイルスを取り除くという方法です。
この方法で使用するフィルターは大変高価なものなので、製品の値段に反映されてしまいます。

非加熱でも衛生的に大丈夫なの?

加熱をしないことを前提に製品化するわけですから、原材料の時点で菌やウイルスがないことも重要な要素です。
同時に、胎盤が後産で母体から排出されると、ただちに衛生的に管理されなくてはいけません。

そして、製品化の途中で何度も品質検査を行ったり、工場の衛生管理も徹底したりする必要があります。
その上で、製品の最終検査でも一定の衛生基準をクリアしなければ、販売することができなくなってしまうというわけです。

ところで、動物由来の胎盤でこんなに苦労して「生」プラセンタが作られていますが、
最も効果があるとされる医療用のヒトプラセンタは、加熱されています。

こう聞くと、「加熱したって効果は変わらないんじゃないの?」と思ってしまいますよね。
ヒトプラセンタの場合、狂牛病に似た症状を示すことで知られる不治の病・ヤコブ病に感染するリスクがあるとされていますが、
この病気は製品を加熱して殺菌しても、感染力を失わないことがわかっています。

もうこうなってくると、生プラセンタに何のメリットがあるの?安全って何?と思ってしまいますよね。
さらに、非加熱の生プラセンタの方が、加熱処理した製品よりも効果があるのかどうかは、
実のところ同じメーカーによる「当社従来製品との比較」でしか推測できません。
そして、従来製品でも生プラセンタでも、基本的には胃酸で分解されてしまいます。

生であってもなくても、また、プラセンタ以外のサプリメントでも、
高級品の場合は腸溶コートという胃ではなく腸で分解されて吸収されるように工夫されたコーティングで覆われています。
ですから、
品質を比較する際に生であるかどうかは、実はそれほど重要でもないとも言えるのです。

生プラセンタの真実を整理してみる

それでは、生プラセンタについてまとめてみましょう。

・生プラセンタとは、加熱していないプラセンタ原料から作られた製品のことで、生の胎盤ではない
・加熱による殺菌のかわりに、化学反応を利用した殺菌や高機能フィルターによるろ過で品質管理されている
・非加熱を前提にしているので、母体の健康や原材料の胎盤、製造工程についても高いレベルの衛生管理が求められる
・生の方が加熱処理製品よりすぐれているという一般的なデータはなく、「当社比」で判断するしかない
・胃酸で分解されず腸での吸収力を高めるために、腸溶コートが使われていると効果的


そして、これらの条件を満たしている製品というのは、どうしても割高になってしまうことも覚えておきたいもの。
原材料の価格も、製造工程の衛生管理も、製造方法や商品の販売方法についても、
ちょっとずつコストが高くなってしまうのです。

「生」に限らず、そのプラセンタは自分自身にとって本当にコストパフォーマンスのよい製品なのか、
良く考えて判断したいですね。